第弐話:龍虎相打

「なぜそんな小僧を連れてきた!」
薄暗い地下空間に居た金色の龍の声が低く響いた。

虎は黙って明を龍の前におろした。

「ここはお前如きが来るところではない。早く戻らなければお前を八つ裂きにしてやるぞ!」龍もまた明に襲いかかる。

「金色の龍よ。お前は何の為に俺を八つ裂きにするのだ?俺はただ浅草寺を散歩していただけだぞ。」

「口喧嘩は必要無い。力を示せ」と金色の龍が吠えるが、明は一歩も引かない。不動の明は、龍の眼をじっと見据える。

「俺はもう、暴力はふるわねえと決めたんだ。……それが、平和の近道なんだ。」

明の意思に、金龍の瞳から刺々しい光が消えていく。龍は虎と共に静かに御本尊の地下空間に結界を張った。

この時に、明の背中には梵字のような紋章が浮かび上がっていた。それが見えなくも直感的に理解できた。
突然迷い込んだこの異界で、明は自分の「真の役目」を悟り始めていた。

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